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最高裁判所第一小法廷 平成3年(行ツ)21号 判決

埼玉県朝霞市根岸台七丁目五番一号

上告人

村野重也

右訴訟代理人弁理士

松田喬

東京都千代田区霞が関三丁目四番三号

被上告人

特許庁長官 植松敏

右当事者間の東京高等裁判所平成二年(行ケ)第二四号補正却下決定取消請求事件について、同裁判所が平成二年一〇月二五日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申立てがあった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人松田喬の上告理由について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。

よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 橋元四郎平 裁判官 大内恒夫 裁判官 四ツ谷巖 裁判官 大堀誠一 裁判官 味村治)

(平成三年(行ツ)第二一号 上告人 村野重也)

上告代理人松田喬の上告理由

一上告理由第一点とするところは

原判決は「請求の原因一(特許庁における手続の経緯)、二(本件補正前及び補正後の特許請求の範囲)及び三(本件決定の理由の要点)の事実は、当事者間に争いがない。」との判断をなしている。そして原判決には「三本件決定の理由の要点」として次の判断を示している。「本件補正後の特許請求の範囲第一項には、「所求鍍金箇所にピンホール状孔の多数を増減所要のものを発生し得る柄付け作業を施」すこと、及びその結果として「その鍍金にピンホール状孔を表面から鏡面まで貫通させ、柄に光輝性を保有させ得ること一が記載されており、また、同第二項には、「この柄にピンホール状孔の所要数を発生、保有させ」ること、及びその結果として「鍍金表面から鏡面までピンホール状孔を貫通させ、柄に光輝性を保有させた」ことが記載されているけれども、かかる事項は出願当初の明細書(以下「当初明細書」という。)及び図面(以下「当初図面」という。)には、何等記載されておらず、しかも、同明細書及び図面の記載からみて自明であるとは認められない.」

したがって、本件補正は、特許法第一五九条第一項の規定で準用する特許法第五三条第一項の規定により却下すべきものと認める。」との判断を示している。

だが、上告人は右原判決の摘示中「出願当初の明細書(以下「当初明細書」という。)及び図面(以下「当初図面」という。)には、何等記載されておらず、しかも、同明細書及び図面の記載からみて自明であるとは認められない。」との主張をしたことは全くなく、かくの如きは上告人の主張を根底から履き違えているものであり、即ち、上告人は必然的に推論、推理、理性により知り得る範囲は当然その推論、推理、理性の適用を許容されることが条理上明確なりとの主張をなしているものであって、原判決の判断は民事訴訟法第三九五条第六項理由に齟齬があるものである。

二上告理由第二点とするところは

原判決は「二そこで、原告主張の審決取消事由の存否について判断する。

1本件決定の理由の要旨によれば、本件決定は、本件補正後の特許請求の範囲第一項中の「所求鍍金箇所にピンホール状孔の多数を増減所要のものを発生し得る柄付け作業を施」すこと、及びその結果として「その鍍金にピンホール状孔を表面から鏡面まで貫通させ、柄に光輝性を保有させ得ること」との記載、並びに同第二項中の「この柄にピンホール状孔の所要数を発生、保有させ」ること及びその結果として「鍍金表面から鏡面までピンホール状孔を貫通させ、柄に光輝性を保有させた」との記載は、当初明細書及び当初図面には、何ら記載されておらず、しかも、右記載からみて自明であるとは認められないから、本件補正がこれらの要旨を変更するものであることを理由に本件補正を却下したことが明らかである。

そこで、本件決定に摘示された補正事項が当初明細書及び当初図面の要旨を変更するものに該当するかについて検討する。

成立に争いのない甲第二号証の一によれば、本件補正書には、本件補正後の特許請求の範囲記載の発明の目的、構成、作用効果について、次のとおり記載されていることが認められる。

(一)本件補正後の特許請求の範囲第一項記載の発明は、「鍍金を浮き出した柄として形成するに際しその柄に所要数のピンホール状孔を人工的に多数設けること」(第二頁第一八行ないし第三頁第一行)を目的とし、この目的を達成する手段として、同項記載の構成、すなわち「その鏡面上に柄付け作業をするに際し所求鍍金箇所にピンホール状孔の多数を増減所要のものを発生し得る柄付け作業を施し(中略)その鍍金にピンホール状孔を表面から鏡面まで貫通させ、柄に光輝性を保有させ得る(第一頁第六行ないし第一七行)との構成を採用し、この構成により「所求鍍金箇所に鍍金を浮き出し、かつ、所要数のピンホール状孔を含有する柄を形成することが可能」(第一〇頁第一行ないし第三行)という作用効果を奏するものである。

(二)本件補正後の特許請求の範囲第二項記載の発明は、所求鍍金箇所に「柄として浮き出させ、有機溶剤を以て柄付け資料を剥離除去して再び鏡面を表出し、この鏡面と上記柄として浮き出させた所求鍍金箇所、即ち、柄とそれに設けたピンホール状孔とを表現する浮き出した柄を形成した鍍金体を得ること」(第三頁第八行ないし第一四行)を目的とし、この目的を達成するための手段として、同項記載の構成、すなわち、「この柄にピンホール状孔の所要数を発生、保有させ(中略)鍍金表面から鏡面までピンホール状孔を貫通させ、柄に光輝性を保有させた柄を浮き出した」(第二頁第六行ないし第一一行)との構成を採用し、この構成により「ピンホール状孔が存することによりその中に進入した光線はその中の鏡面によって反射されて光輝を発し、換言すれば、燦光を放ち」(第一〇頁第九行ないし第一一行)という作用効果を奏するものである。一方、成立に争いのない甲第三号証によれば、当初明細書には、本願第一発明は「鍍金を浮き出した柄として形成すること」(第二頁第一二行、第一三行)を目的とし、本件補正前の特許請求の範囲第一項記載の構成を採用し、この構成により「所求鍍金箇所に鍍金を浮き出した柄として形成することが可能」(第八頁第一八行、第一九行)という作用効果を奏するものであり、また、本願第二発明は「この鏡面と上記柄として浮き出させた所求鍍金箇所とを表現する浮き出した柄を形成した鍍金全体を得ること」(第三頁第二行ないし第四行)を目的とし、本件件補正前の特許請求の範囲第二項記載の構成を採用し、この構成により「所求鍍金箇所に鍍金を一重、ないし、数重として浮き出させることにより、この浮き出した所求鍍金箇所と上記鏡面とを対照的に配在させた鍍金物品が構成され、その構成品は彫刻による物品の装飾を以てしては得られない風趣のある好個の物品、すなわち、花瓶、喫煙用ライターその他各種の鍍金器物、ないし、同物品たるの価値」(第九頁第一行ないし第八行)があるという作用効果を奏するものであることが記載されているが、本件補正書に記載された前記認定の本件補正後の特許請求の範囲第一項及び第二項記載の発明の目的、構成及び作用効果については、記載も示唆もなく、また、このことはその技術内容からみて、当初明細書及び当初図面の記載から当業者に自明であるとも認められない。

したがって、本件補正後の特許請求の範囲第一項中の「所求鍍金箇所にピンホール状孔の多数を増減所要のものを発生し得る柄付け作業を施」すこと及びその結果として「その鍍金にピンホール状孔を表面から鏡面まで貫通させ、柄に光輝性を保有させ得ること」との記載、並びに同第二項中の「この柄にピンホール状孔の所要数を発生、保有させ」ること及びその結果として「鍍金表面から鏡面までピンホール状孔を貫通させ、柄に光輝性を保有させた」との記載は、当初明細書及び当初図面には、何ら記載されておらず、しかも、右記載からみて自明であるとは認められないから、本件補正はこれらの要旨を変更するものというべきである。

2この点について、原告は、当初明細書の第四頁末行ないし第五頁四行の記載を引用し、微小な塗抹資料を吹き付けると、塗抹資料が微小塗抹滴として鏡面仕上の鍍金用素材に付着するから、柄付け作業終了後有機溶剤をもって洗浄すると、剥離除去されてそこに浮き出した柄内に所求のピンホール状孔を多数ないし所要の数得るという状態が発生するものであり、当初明細書に記載された吹付け手段によりピンホール状孔が発生することは明らかである旨主張する。

前掲甲第三号証によれば、当初明細書には「塗抹資料はインキ、塗料、感光剤、電気不導体液等各種のものがあり、柄付け手段は、手書き、印刷(グラビヤ印刷の如し。)、写真焼付、吹付け、ないし、部分塗装等各種のものを用い得る。」(第四頁末行ないし第五頁第四行)と記載されていることが認められるが、この記載は、その直前の「この柄付け作業は所求鍍金箇所を残置してその余の箇所を塗抹資料を以て塗抹する.その残置された箇所が鍍金によって被鍍金器物の柄を構成する。」一(第四頁第一六行ないし第一九行)との記載に続くものであり、右記載に照らすと、原告引用箇所における「吹付け」は、所求鍍金箇所を残置してその余の箇所を塗沫資料をもって塗沫、すなわち塗りつぶすことを意味することが明らかであって、原告主張のように残置された所求鍍金箇所に塗抹資料を微小塗抹滴として付着させるための吹付けを意味するものではないから、原告の右主張は採用できない。

また、原告は、特許法第四一条に規定する「願書に最初に添付した明細書及び図面に記載した事項の範囲内」とはこの明細書に推論、推理、理性に観念を適用して判断することは理の当然であって、その結果本件補正後の特許請求の範囲が当初明細書に表示した特許請求の範囲を増加、減少、変更しても要旨の変更とはみなされない旨主張する。

特許法第四一条に規定する「願書に最初に添付した明細書及び図面に記載した事項の範囲内において特許請求の範囲を増加し減少し変更する補正」であるか否かは、出願当初明細書及び図面の記載に基づき、発明の技術的課題、構成及び作用効果を検討して特許請求の範囲に記載された技術的事項を客観的に把握し、これを補正内容と対比し、認定、判断すべきものであり、本件において、当初明細書及び当初図面と本件補正内容とを対比した結果は、前記認定、判断のとおりであって、これ以外に推論、推理、理性の観念を適用して要旨変更に当るかどうかを判断すべきものではないから、原告の右主張は採用できない。

さらに、原告は、当初明細書には、「その構成品は彫刻による物品の装飾を以てしては得られない風趣のある好個の物品、即ち、花瓶、喫煙用ライターその他各種の鍍金器物、ないし、同物品たるの価値ある効果がある。」(第九頁第四行ないし第八行)と記載されており、この記載は、能動的ないし発展的推論、推理、理性に徴し、当初明細書の内容から本件補正書の記載に必然的に発展する内容を抱持している旨主張しているが、右記載は、本件補正書に記載された前記1認定の作用効果を記載したものでも、これを示唆するものでもないから、原告の右主張も理由がない。

3以上のとおりであるから、本件補正後の特許請求の範囲第一項中の「所求鍍金箇所にピンホール状孔の多数を増減所要のものを発生し得る柄付け作業を施」すこと及びその結果として「その鍍金にピンホール状孔を表面から鏡面まで貫通させ、柄に光輝性を保有させ得ること」との記載、並びに同第二項中の「この柄にピンホール状孔の所要数を発生、保有させ」ること及びその結果として「鍍金表面から鏡面までピンホール状孔を貫通させ、柄に光輝性を保有させた」との記載は、当初明細書及び当初図面には、何ら記載されておらず、しかも、右記載からみて自明であるとは認められないとした本件決定の認定、判断は正当であって、本件補正は当初明細書の要旨を変更するものというべきであるから、本件決定に原告主張の違法は存しない。

然しながら原判決は発明、即ち、技術的思想を論ずる根底的な誤りを犯している。土台、根底を誤っているものであるから、その所論は語る所、説く所悉く辻褄が合わず、所論の道理が凡そ頓珍かんに失して居り、技術的思想の論議として成立していない。原審に於て上告人が主張するところは思想上の論理、即ち、歴史的世界に於ける弁証法的論理たる「系統」の論理である。上記「系統」とは普遍的観念たる「類種」の観念に於て「種」は互いに異別であるが、その異別状態が「必然的な関係」にある場合に同一系統である、ないし、系統を同じくすると断定するものである。蓋し、有名、有用の歴史的世界に於ける弁証法的論理である。凡そ特許法上の発明は「技術的思想」、即ち、思想であり、換言すれば、歴史的世界における弁証法的論理であり、それは人間が生を追求する論理たるに外ならない。それは所詮人間が生を追求するために創作した論理であって、理化学的存在、ないし、感覚的存在事実たるの論理ではない。即ち、人間の感覚的対象、ないし初等数学的論法をもって論断すべき対象ではない。そして、右系統の論理は特許法上の発明が事実真理として合目的性と、価値(価値は自覚によって生ずる.)と妥当性(人間の視野たる理性を内容とすることが通説である。理性に適合することは客観的である.)によって充足されるものである。上告人はこの通説(ヘーゲルのいわゆる唯心論である.)に依存して主張しているものである。右系統の論理は右事実真理たる合目的性を論議するに極めて適当なものであって、即ち、発明本来の目的たるとともに種は異ると雖も推論、推理、理性上必然的な関係にあるものは合目的性の範囲に属することを明確にするものである。例えば、机が机たるとともに推論、推理、理性に徴し、置き物台になるが如し。元来被上告人が主張し右摘示した原判決がその説示に用いる「自明の理」等と称するものであっても「自明の理にあり、あるいは、非ず」と断ずるには推論、推理、理性によって判断するものであって、人の世の行為、ないし、意欲、意思に推論、推理、理性に依らざるものなし。然るに右原判決は、もともと、根底的に思想、換言すれば、技術的思想を理解していないものであるから、したがって、発明、即ち、特許請求の範囲と実施例との区別、及び、両者の思想論的論理を全く弁ずることなく、徒らに斯界に於ける慣習独断論を展開して饒舌を展開しているに過ぎない。加わうるに思想上の論理として、即ち、人間の生を追求する論理としてヘーゲルは対象(勿論、人間に対する対象であり、以下生を追求する論理、ないし、歴史的実践的というも何れも同然である。歴史は人間界以外構成されることなし。)を存在(単なる存在は「なし」と同然なり。)故に思想上論議の対象となる主要なる対象は「存在事実」に帰すべし、本質、概念(本質という意味の概念に非ずしてヘーゲルのいう概念なり。それは歴史的、実践的事実であって、ギリシャ哲学の論理として精神現象を実在とし、感覚、感性、情性的対象は仮象として暫くは存在するもやがて滅亡する謂われである。(歴史的とは変化的、偶然的、純粋的、必然的、経験的の内容を有するこというまでもない。)、表象(意識に於て対象としたもの)の四つに区別した。そして右概念は人間が性を追求する対象として歴史的、実践的事実を構成し、即ち、人間の精神現象として発生し、換言すれば、存在、ないし、存在事実がない対象、即ち、対象が全くなかった対象が発生し、右歴史的、実践的事実の中に新しい歴史的、実践的事実が加入されるものであるから右概念の内容は発展を展開しているものに外ならず、然も人間の精神現象は何等かの対象を知るに非ざれば精神現象は成立なし得ず(一例として人類に未知な天体に於ける生活様式を追求するも全くの空想に堕するが如し。)、更に人間の理性は合理性なければ容認することを得ざる歴史的、実践的事実に徴すれば、右概念における発展的論理の発生は、即ち、推論、推理、理性はヘーゲル論理の精粹をなすものである。そして右「系統」と相関的、必然的な関係を有すること多言を要さない。また、右概念は主観的な対象であるが理性的であるところにより客観性を有し、変化的、偶然的なるところに(偶然とは反対の事実があるも矛盾しないことである。)ヘーゲルのいう「唯一者」の所業であり、あるいは、人間の精神が「唯一者」、即ち、「無」に通じ、「無」に則した内容を実現していることと断定し得るものである。世俗的な用語を以てすれば全くの「神」の思召たるに外ならない。然らば神の所業なりといってもこれが人間を通じて発生する時、その非理性的発生は到底容認なし得ないから、その理性的発生に限局されるべきであり、即ち、推論、推理、理性に徴せられるべきこと必然の結果である.然るに原判決は右概念とかその余の右存在事実等四つの区別に全く無知なることを発揮し、理化学に於ける存在、ないし、存在事実と区別することなく、右理化学的存在、ないし、存在事実がこれに推論、推理、理性を論拠として論議する余地なきところと同一に判断し(被上告人の所説もとより然り.)、頓珍かんな判断を表現しているものである。故に原判決は民事訴訟法第三九五条第六項に於ける理由に齟齬ある判決をなしているものであり、当然取り消されるべきものである.

三上告理由第三点とするところは

原判決は「この記載は、その直前の「この柄付け作業は所求鍍金箇所を残置してその余の箇所を塗抹資料を以て塗抹する.その残置された箇所が鍍金によって被鍍金器物の柄を構成する。」(第四頁第一六行ないし第一九行)との記載に続くものであり、右記載に照らすと、原告引用箇所における「吹付け」は、所求鍍金箇所を残置してその余の箇所を塗沫資料をもって塗抹、すなわち塗りつぶすことを意味することが明らかであって、原告主張のように残置された所求鍍金箇所に塗抹資料を微小塗抹滴として付着させるための吹付けを意味するものではないから、原告の右主張は採用できない。」と判断している。

然しながら「右記載に照らすと、原告引用箇所の「吹付け」は、所求鍍金箇所を残置してその余の箇所を塗抹資料をもって塗抹、すなわち塗りつぶすことを意味することが明らかであって、」との判断は、土台、判断として成立していない.凡そ頓珍漢の論旨に堕している.「塗抹」といえば全部塗抹もあれば一部塗抹もあること明細書記載の常識である.もともと、「所求鍍金箇所」とは柄付け作業箇所と陰陽の関係にあるため両者を区別したに外ならず、所求鍍金箇所の中に更に柄付作業を施すことは鍍金の常道であり、即ち、「塗抹」が「一部塗抹」を包含していることは塗抹手段の一般概念たるに外ならないから、これを被上告人主張の如く「所求鍍金箇所」に塗抹とあれば、「所求鍍金箇所」に全部塗抹するものと解釈することは屁理屈これ極まれというを得るものであるが、原判決は、あるいは、明細書記載手法に無知であり、あるいは、調査官の意見を妄信して(調査官は一般的観念として特許庁弁護官に堕している。)、原判決の如く判断したものと思料され、加うるに前項二に論述した如くヘーゲルのいう右概念は変化性、偶然性の発生として神の所業たるに外ならないから必然的に人間を通じて推論、推理、理性の合理性を内包し、これを理化学的観念に於ける存在、ないし、存在事実の如く解釈して右塗抹手段の常道等推論、推理、理性の合理性を無視して判断することは民事訴訟法第三九五条第六項理由に齟齬が存すること明白であってその取消をなされることは免れない。

以上

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